聖書のことば2024年2月

喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。

ローマの信徒への手紙12章15節

 この言葉は、イエス・キリストの使徒パウロによる、ローマのキリスト教の信徒の集まりへの手紙のなかに記されています。

 この言葉が含まれるローマの信徒への手紙12章の文脈をみますと、段落のまとまりの9節から21節は私たちの生活のあり方が示されている箇所です。

 はじめの9節には「愛には偽りがあってはなりません」と言われています。ここでの愛には、ギリシア語で神の愛を表す「アガペー」が使われ、完全な神様の愛が存在することを意識しつつ実際の生活のあり方が説かれているのです。そして15節が2月の聖句、「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。」です。

 周りの人々が普段の生活の中で体験する幸せや悲しみを、自分のことのように一緒になって喜んだり、泣いたりして他者の体験を共感して分かち合うことが勧められています。

 この生き方は、まさにイエス・キリストの生き方そのものです。イエス・キリストは、どんな人とも食事を共にして喜びを分かち合いました。また、身内を失って悲しみの中にある人に寄り添い、涙を流しました。

 そして、今、復活のイエス・キリストは私たちの目には見えませんが、聖霊という形をとって私たちにも、このように接してくれているのです。すなわち、私たちが喜んでいる時に共に喜んでくださり、悲しんでいる時に共に悲しんでいてくれているのです。このことを信じていくなら、私たちは単に言葉だけではなく、ほんとう意味で「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣く」人になることができます。 身の回りの人への共感こそが、わたしたちをつなげ、一つにしていく原動力です。神様の愛の実践者イエス・キリストに倣いつつ、2024年度の集大成になるように生活の歩みを進めましょう。

園長牧師 佐野真也