今日ダビデの町で救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである

ルカによる福音書2章10節

12月は、イエス・キリストが生まれたことを、私たちの心にも迎える時です。この聖書の言葉は、天使が羊飼いたちに告げたことばです。

家も財産もない羊飼いは、当時の社会では低い地位とみなされていました。天使が彼らに最初に知らせたことは、神の救いが社会的地位や名声によらず、すべての人に向けられていることを示しています。

天使たちから直接告げられた救い主が、飼い葉桶に眠る赤子が彼らの目の前にいることを確認した瞬間、大きな驚きと神に対する畏敬の念を抱きました。

羊飼いは「すべての人に与えられる大きな喜び」を告げられ(2章9節)、その約束が実現していることに驚き、喜びました。そして彼らはこの知らせを他の人々にも喜びに満ちて広めたのです。

一方、母マリアの気持ちは、非常に内省的で深いものでした。「心に納めて、思い巡らしていた」(2章19節)。マリアは天使ガブリエルから告げられた「救い主の母となる」という使命をすでに受け容れていましたが、天使から告げられた羊飼いたちの来訪によって、彼女の心に新たな驚きと敬虔な思いが加わったのです。自分の子が救い主であり、多くの人にとって希望の光になるという告げ知らせを、ひとりの母として感慨深く受けとめました。

この一連の出来事は、救い主イエスの誕生が「すべての人に与えられる大きな喜び」であることを象徴的に示しています。羊飼いたちの喜びと証し、マリアの深い思索を通して、神の救いの計画の広がりと深さが私たちに伝えられています。

園長牧師 佐野真也